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- Title
テキサス州のメディケイド1115ウェイバーをめぐ る州•連邦政府間関係の動態 一連邦政策の動向を見据えた州政策の展開ー
- Authors
櫻井潤
- Abstract
本論文の目的は, アメリカにおける2010年患者保護アフォーダブルケア法(オバマケア)成立 後の州医療保障政策の展開過程を, テキサス州における医療扶助のメディケイド改革をめぐる州・ 連邦政府間関係の検討を通して実証的に明らかにすることである。テキサス州政府がメディケイド の1115ウェイバーの申請を決断した動機は,オバマケアを見据えて州内の医療セーフティネット の財政システムを再構築することによって,低所得・貧困者の医療ニーズに対応するという点にあ った。テキサス州政府はオバマケア成立の当初から現在まで,州政府にメディケイド拡大を実施さ せたい連邦政府の意図を把握しながら,州の医療ニーズとそれを賄うための財政システムを構築す るために最も有利な内容および方法に基づいて1115ウェイバーを実施している。州政府は歴代の 大統領の政策方針や連邦医療政策の展開を見据えて1115ウェイバーの延長更新の手続きを行い, 州における既存のメディケイドの枠組みを変えることなく連邦補助金を獲得することによって,州 内の医療業界との協働に基づく医療セーフティネットの財源をしたたかに確保してきたのである。 オバマケアに基づくメディケイド拡大および州主導の1115ウェイバーをめぐる連邦政策の展開と それを見据えた州政府の政策選択のあり方は,連邦法を軌道修正した州主導の「ポスト•オバマケ ア」の方向性を規定する最大の要因であるといえよう.
- Publication
Kokugakuin University Economics Review / Kokugakuin Keizaigaku, 2022, Vol 71, Issue 1, p39
- ISSN
0288-6340
- Publication type
Article