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- Title
テキサス州のポスト・オバマケアのメディケイド 改革における州財政の論理 -「負担に見合う」連邦補助金を用いた医療ニー ズへの対応-.
- Authors
櫻 井 潤
- Abstract
本論文の目的は,アメリカにおいて 2010 年患者保護アフォーダブルケア法(「オバマケア」)成 立後に州政府が持続可能な財政システムの構築を目指して医療扶助のメディケイドの改革を実施す るに至るまでの経緯を,連邦補助金を獲得する州財政の枠組みおよびその正当化の論理が形成され る過程に焦点を当てて,テキサス州の事例に即して実証的に明らかにすることである。州政府によ るメディケイド改革の課題は,無保険ワーキングプアへの医療保障を行うための持続可能な財政の 枠組みを構築することであった。テキサス州政府は州財政赤字の削減および医療ニーズへの対応と いう課題を同時に達成するために,連邦法のオバマケアに反発する姿勢を示しつつも,その方針を ふまえた独自の改革を行うことによって,自らの州にとって不利になる連邦法の規定を回避しなが ら連邦補助金を獲得することを目指した。その改革のあり方が州議会において検討された結果,州 民の連邦税の負担に見合う連邦補助金を獲得すべきであるという論理が形成され,州政府はその論 理に基づいてウェイバー制度を用いたメディケイド改革に着手したのである。オバマケア成立後の メディケイド改革の論点は,連邦規制や連邦補助金をめぐる州・連邦政府間の交渉や駆け引きがい かにして進められ,その交渉や駆け引きを経た改革が州の医療財政システムや州財政にどのような 影響を及ぼすのかという点にあり,それらが「ポスト・オバマケア」の医療保障財政の枠組みを形 成することになるであろう。
- Publication
Kokugakuin University Economics Review / Kokugakuin Keizaigaku, 2022, Vol 70, Issue 2, p91
- ISSN
0288-6340
- Publication type
Article