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- Title
ギラルドゥス・カンブレンシス『セント・デイヴ ィズ教会の権利と地位』を読む -「セント・デイヴィズ問題」再論
- Authors
永井 一郎
- Abstract
ギラルドゥス・カンブレンシスは晩年の著作『セント・デイヴィズ教会の権利と地位』で, 自ら 提起し, 敗北に終わった「セント・デイヴィズ問題」について回顧している。 青年期から彼はセント・デイヴィズ司教となって同教会の栄光を取り戻したいと熱望していた。 前司教の死去に伴い1198 年に彼は教会参事会によって次期司教候補に推されたが, 最終的な決定 権を持っていたイングランド王ジョンが彼の任命を拒否したため, 大胆な作戦を実行に移した。王 権の頭越しにローマ教皇インノケンティウス三世に訴え出て, 教皇の権限で自分をセント・デイヴ ィズ司教に任命してくれるように, また, 同教会がかつて持っていた大司教座権を復興してくれる ように求めたのである。教皇庁での審議は3 年に及んだが, イングランド王権の執拗な妨害, セン ト・デイヴィズ教会メンバーの内部分裂, 教皇自身の政治的な打算が重なって, 最終的にギラルド ゥスは完全に敗訴した。 著作の中で彼は, 「セント・デイヴィズ問題」の経緯を細かく紹介しながら, その時々で自分が どのようなことを考え, また, 感じたか記している。この特徴を利用して, 本稿は彼の思考や感情 の面から上記著作を読み, そこから彼の生涯を振り返ってみた。また, 本稿で私のギラルドゥス自 身に関する探索を終えることにし, 未解決のまま残されている問題を整理した.
- Publication
Kokugakuin University Economics Review / Kokugakuin Keizaigaku, 2023, Vol 71, Issue 2, p79
- ISSN
0288-6340
- Publication type
Article