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- Title
カタール危機の経済的影響 -貿易面から見た経済制裁の成否-.
- Authors
細井 長
- Abstract
本稿は2017 年6 月に発生したサウジアラビアやUAE によるカタールへの断交を契機として, カタールの通商面における影響や貿易相手国の変化などから, サウジアラビアなどが課した経済制 裁の成否を考察したものである。 カタールは断交直後から, サウジアラビアなど遮断されたサプライチェーンの代替ルートを迅速 に確保し, さらに断交措置は国際通商ルールから逸脱するとしてWTO に提訴して国際社会に自ら の正当性を訴えてきた。 貿易面における断交前後の貿易額の推移, また貿易結合度, 貿易依存度の指標から, 断交を行っ た国とカタールの貿易関係は当然であるが低迷し, かわって断交措置に参加していないオマーンや クウェート, トルコといった国々がカタールとの通商関係を新たに深化させていった。また, サウ ジアラビアやUAE は断交によってカタール市場を失い, かわりにオマーンがカタールへの輸出市 場を新たに創出することになった。 断交という経済制裁によってカタールに対して経済的打撃を与えることがサウジアラビアなどの 目的だったが, カタール経済に大きな影響を与えることはできず, カタールという自らの輸出市場 を失い, それが断交終了後2 年が経過しても断交前の状況を回復するにいたっていない。貿易面に おいてはオマーンなど周辺諸国を利する結果にすぎなかった.
- Publication
Kokugakuin University Economics Review / Kokugakuin Keizaigaku, 2023, Vol 72, Issue 1, p41
- ISSN
0288-6340
- Publication type
Article